破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
 最近思い悩んでいることを、ラウィーニアに言い当てられて私は小さく息をついた。

「え? 何? ランスロットって、もしかして……あんな顔をして、何か変な性癖でもあるの?」

 ラウィーニアは、ちょっと微妙な顔をした。もちろん。誰かが持つ性癖に関しては、他人がどうこう言う権利などない。勝手な言い分なんだけど、確かに正統派な美形騎士には完璧な自分の想像通りに居て欲しい気持ちは私もそうなので良くわかる。

「ちっ……違うわ。それは、違うんだけど……」

「はっきりと、言って。どうせすぐに吐くんだから、時間の無駄よ。それに、ディアーヌは私に相談したがっているでしょう?」

 幼い頃から過ごしたラウィーニアに、何かを誤魔化せるはずもない。私ははーっと再度大きく息を吐き出してから、意を決して彼女に悩んでいたことを話すことにした。

「あの……付き合い始めて直後に、私たち一線を越えたんだけど」

「そこは、二人の自由だし……それに関しては、私は何も言わないわ。それで?」

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