破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「ランスロット。凄く……ああ言うことに、手慣れていたの。冷静に考えれば彼くらい素敵な人なら、おかしくもなんともないんだけど。私の手を取る時も、震えていたのにって思っちゃって」

 どう説明すれば良いか悩んでしまうような困惑を理解してくれたのか、どうなのか。ラウィーニアは、良くわからないと言った様子で首を傾げた。

「ディアーヌの言わんとしていることも、わかるんだけど。あんなに美形な騎士が……その、全く経験なく初めてだと言うのも、少し不気味な話だと思うわ。私も、コンスタンスに聞いただけだけど……騎士団って、大抵飲み会の後は娼館に行くらしいのよ。そういうお店が現にあるんだし、伴侶もいない独身の騎士なら利用するんではないかしら。それに、彼ならばただ抱いてほしいから、付き合ってくれなくても構わないという向こう見ずな女性も……数多く群がるでしょうね」

 男性の事情を言っているラウィーニアは、とても複雑そうな様子ではある。

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