破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
 確かに出来れば自分だけで居て欲しい女性側としては、それは難しい問題ではある。でも性欲は、誰にでもある。それに、戦闘職であれば戦いの後は気分が高揚して、どうしてもそういう気分になりやすいらしい。

「なんて言えば……良いかしら。私のして欲しいことを先回りして、わかっているみたいなの。それって、誰かに愛されているばかりでは絶対に身につかないでしょう? だから……」

 聡明なラウィーニアは、私が言外に言いたい事をあっさりと察してくれたようだった。

「ランスロットには、元々付き合っていたとても愛していた女性が居て、その彼女とそういう事を上手くなる程にしていたことが気になる?」

「だって、私だって……クレメントと付き合っていたと言えど、彼とはそう言う関係にはなっていなかったもの」

 私なんて彼を嫌うクレメントと嫌がらせのためにと一年間も付き合っていて、それでランスロットを苦しめていたと言われれば、もうそれまでなんだけど。

 好きになった人の過去が気になってしまうのは、仕方ない。

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