破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「誰にだって、過去はあるでしょうね。でも、ここ数年に、ランスロットが異性に興味を持てない氷の騎士と呼ばれていたのは、紛れもない事実よ。もし誰かと付き合っていたとしても、それ以前の話でしょうね」
「元恋人……こういうのって、きっと気になっても聞かない方が良いよね?」
「それが……一番良いでしょうね。きっと、それが誰かとか……詳細を知ってしまえば、気になって仕方なくなるでしょう。気がつかなかった事として、心に仕舞っておいた方が良いわ」
「そうよね……聞いてくれて、ありがとう。ラウィーニア」
「絶対に、その人の名前なんて知らない方が良いわよ。私も……コンスタンスがある貴族の既婚女性から、王族の慣例として閨の指導を受けているのは知っているけれど、それが誰かなんて絶対に知りたくないもの」
「コンスタンス様が……?」
あんなにもラウィーニアを愛しているコンスタンス様が……と、私は呆気に取られたまま、寂しげな笑みを浮かべる彼女を見つめた。
「彼は王になる人だから。万が一があってはならないと、子どもが出来るようなことはしていないかもしれないけど。その直前までだったりは、きっとしていると思うわ。でも、コンスタンスが私を愛してくれているのは知っているし、彼がそうしているのは王太子という仕事の一環だからと言うのもわかっている。でも、時々複雑な気持ちにはなるわね。世の中には知らないままで済むことなら、知らないままでいる方が幸せなことも……沢山あるのよ」
「元恋人……こういうのって、きっと気になっても聞かない方が良いよね?」
「それが……一番良いでしょうね。きっと、それが誰かとか……詳細を知ってしまえば、気になって仕方なくなるでしょう。気がつかなかった事として、心に仕舞っておいた方が良いわ」
「そうよね……聞いてくれて、ありがとう。ラウィーニア」
「絶対に、その人の名前なんて知らない方が良いわよ。私も……コンスタンスがある貴族の既婚女性から、王族の慣例として閨の指導を受けているのは知っているけれど、それが誰かなんて絶対に知りたくないもの」
「コンスタンス様が……?」
あんなにもラウィーニアを愛しているコンスタンス様が……と、私は呆気に取られたまま、寂しげな笑みを浮かべる彼女を見つめた。
「彼は王になる人だから。万が一があってはならないと、子どもが出来るようなことはしていないかもしれないけど。その直前までだったりは、きっとしていると思うわ。でも、コンスタンスが私を愛してくれているのは知っているし、彼がそうしているのは王太子という仕事の一環だからと言うのもわかっている。でも、時々複雑な気持ちにはなるわね。世の中には知らないままで済むことなら、知らないままでいる方が幸せなことも……沢山あるのよ」