破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
二人で鍵も掛けられていなかった部屋の外に出ると、とても強い風が吹いていた。
それに、ジェルマンに雇われている船員と思われる身体の大きな男性たちは、バタバタと走り回り懸命に帆を張っている。
彼らは囚われの身ではずの私たち二人が部屋の外に出ているのを見ても、もうそれどころではないと無視をして走り自分の持ち場へと向かう。
一応、私は置いておきても、こちらのラウィーニアは、大事な交渉道具なんですが?
「……何かあったのかしら?」
辺りを見回してからラウィーニアは、不思議そうに私を見た。かと言っても、釈然としない私にだって何の理由も思いつくはずもない。
「船中の船員が、とても焦っているみたいね……え? ラウィーニア! 並走している船を見て!」
私たちの乗る船に向かって何個かの火球が飛んで来たのを見て、危うく飛び上がって歓声を上げてしまうところだった。
何故かと言うと、その火球にはこの前見たばかりの私には良く見覚えがあったから。
それは、私のことを東の森で護衛としてついて来てくれた炎の騎士クレメントの得意としている無数の火球で攻撃する魔法だった。
それに、ジェルマンに雇われている船員と思われる身体の大きな男性たちは、バタバタと走り回り懸命に帆を張っている。
彼らは囚われの身ではずの私たち二人が部屋の外に出ているのを見ても、もうそれどころではないと無視をして走り自分の持ち場へと向かう。
一応、私は置いておきても、こちらのラウィーニアは、大事な交渉道具なんですが?
「……何かあったのかしら?」
辺りを見回してからラウィーニアは、不思議そうに私を見た。かと言っても、釈然としない私にだって何の理由も思いつくはずもない。
「船中の船員が、とても焦っているみたいね……え? ラウィーニア! 並走している船を見て!」
私たちの乗る船に向かって何個かの火球が飛んで来たのを見て、危うく飛び上がって歓声を上げてしまうところだった。
何故かと言うと、その火球にはこの前見たばかりの私には良く見覚えがあったから。
それは、私のことを東の森で護衛としてついて来てくれた炎の騎士クレメントの得意としている無数の火球で攻撃する魔法だった。