破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
いくら……こんなにも強い風が吹いていたとしても、風をはらみ船を進ませるはずの帆がこんなに酷い状態であればこちらは思うように進めない訳だった。
そのままこちらにぶつかってしまう程の勢いで迫り来る船が、ほんの少しの距離を残し速度を緩め始めた。いきなりぴたりと止んでしまった風が、彼らがそれを意図的に起こしたものだということを端的に示していた。
「ラウィーニア! あれって、コンスタンス様じゃない? 貴女のことが心配の余り、こんなところまで自ら追いかけて来てくれたのね」
私は、本来なら王宮で一番に守られるはずの彼を見て、思わず大きな声で叫んでしまった。我が国の王太子であるコンスタンス様が、ランスロットが凍らせたと思われる白い海面に颯爽と降り立ったからだ。
それは普通に生きているだけであれば決して見ることの出来ない、とてもとても不思議な光景だった。
そもそも、よっぽど寒い地域でないと海面ってこんな風に凍らないと思うし。何かの必要に迫られたとしても……コンスタンス様のような美男子は、あんなに薄着では歩かないと思うし。うん。
そのままこちらにぶつかってしまう程の勢いで迫り来る船が、ほんの少しの距離を残し速度を緩め始めた。いきなりぴたりと止んでしまった風が、彼らがそれを意図的に起こしたものだということを端的に示していた。
「ラウィーニア! あれって、コンスタンス様じゃない? 貴女のことが心配の余り、こんなところまで自ら追いかけて来てくれたのね」
私は、本来なら王宮で一番に守られるはずの彼を見て、思わず大きな声で叫んでしまった。我が国の王太子であるコンスタンス様が、ランスロットが凍らせたと思われる白い海面に颯爽と降り立ったからだ。
それは普通に生きているだけであれば決して見ることの出来ない、とてもとても不思議な光景だった。
そもそも、よっぽど寒い地域でないと海面ってこんな風に凍らないと思うし。何かの必要に迫られたとしても……コンスタンス様のような美男子は、あんなに薄着では歩かないと思うし。うん。