破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「……コンスタンス。こんなところにまで追いかけて来るなんて。危険なのに……あら。ランスロットも、当たり前だけどこちらに来るわね。ついでに、クレメントも」

 ラウィーニアは楽しげに笑って、彼らを指差した。

 歩き出したコンスタンス様に続いたのが、ランスロットで。それに続く何人かの騎士達の中には黒髪のクレメントも居た。私たちを助けに来てくれたのに、ついでなのは可哀想な気もするけど。彼が過去にしたクズな行いを考えると、それは仕方ないと思う。

 海面から船の甲板は高さがあり、すぐ近くに停泊していると言えど、まだ少しの距離があるために、私たち二人はこちらに向かってくる彼らの表情までは窺い知ることが出来ない。

 良く知ってるからこそ、遠目でも彼らだと言うことがわかると言うだけ。

 そして、これはこの目に映っても信じられない光景だし何度でも確認したいんだけど、二隻の周囲にある海水は見事なまでに凍ってしまっている。筆頭騎士……凄い。

 筆頭騎士の噂というか戦場において彼らが向かうところ敵無しという噂は、レジュラスでは国民たちの間では自慢も込め良く語られていた。

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