破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
 まるで人形のような容姿を持つ彼女より、彼に自分の方が好ましいと言われて嬉しくない訳が……なかった。にやついてしまいそうな口元を、慌てて引き締める。

「本当に。誰よりも愛しています。ディアーヌ」

 ランスロットは、じっと見つめて甘い言葉を重ねた。彼が面白がっているような空気も感じる。さっきの言葉を聞いて、舞い上がりそうだった気持ちがバレてしまっていた。

「……それを言えば、何でも許されると思っているでしょう」

 そう言うと、彼は思わずといった様子でふわっと笑った。とてもとても珍しいランスロットの笑顔に、胸がきゅんと高鳴った。頭の中では、過去は過去だし今この場は流されても良いんではないかという強い勢力が出て来た。

「許してくれます?」

「まだ、話は終わっていないけど?」

 こうしてわざとつんつんした振りをしても、一度崩れてしまった緊張感はもう戻らない。確かに気になることは聞いたし、そういう時に言って欲しい言葉はもう貰った後だし、これからの展開がどうなるかと期待してしまう。

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