破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
ランスロットの事は別に疑ってもいないし、彼と異性が少し話したとしても、別にどうこう思う必要などない。
なのに、思わず眉を寄せてしまうくらい嫌だった。胸の中が、気持ち悪くなって締め付けられる。
そして、私がクレメントと付き合っていた時には、ランスロットはこんな辛い思いをしていたのだと思うとやっぱり胸が痛んだ。
恋の勝者は、敗者の気持ちなど知る由もない。でも、もし彼の気持ちがこちらにあるのなら、私は絶対に敗者にはならないと誓う。
「……グウィネスは、東の地ソゼクから亡命に近い形でこちらに来た時に、レジュラスがある程度の守護を与える代わりに、東の森を出ることや外部との接触を固く禁じられていたそうよ」
本日も変わらずに見目麗しい我が従姉妹ラウィーニアは、何気なく私の傍に近付き意味ありげに微笑んだ。
「だから、ランスロットには今まで接触することが出来なかったのね。だけど、どうしてもと言うのなら、彼に会うだけでも……森を出ることだって、出来たはずでしょう?」