破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「もし、私がグウィネスだったら……どうしたかしら。私には呪術を解くような薬を作ることは、出来ないし……恋人だった人は、私への気持ちを忘れているんでしょう? もう一度、最初からやり直せば良いのかしら……」

 完璧な答えなんて一生考えても出なさそうな事を、ラウィーニアは深刻そうな顔をして悩み始めた。

「……恋を、もう一度最初から始められるって考え方もあるわよね。だって、一度自分を好きになってくれたんだもの。記憶を失ってもその人本人であることは変わらないんだし、順調にいけば好意は持ってくれるんではないかしら」

「だけど……恋の始まりって、きっかけが一番大事でしょう。婚約者候補だった私も記憶を失ったコンスタンスと、もう一度やり直せと言われても……今と、全く同じ関係にはならないと思うもの」

「コンスタンス様とラウィーニアの二人が辿り着く先って……そうそう変わらないような気もするけど……」

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