破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「ランスロット……彼女への気持ちを、思い出したい?」
私がそう聞けば、ランスロットを首を横に振った。
「彼女を好きだったという過去の事実は、確かに何があっても変わりません。嫌がっていた人間から解放され、幸せであってくれればと……思います。ですが今の僕が、愛しているのはディアーヌなので」
「グウィネスは、ランスロットの手を振り払ったことをずっと後悔していたのね……」
彼女はあの時に、頑張れば良かったと嘆いていた。でも、それは次に活かすしかない。時間は決して戻らないから。
「生きていれば、後悔は付き纏います。絶対に間違いがなかったと、言い切れるような選択は難しい。僕も……ディアーヌの社交界デビューの日に、時間を巻き戻したいと何度も願いました」
彼の水色の目は、まるで透き通る氷のよう。それが温められて解けたら綺麗な涙になって、だからこうしてこぼれ落ちるのかもしれない。形の良い頬を滑り落ちた一粒の涙に、私の目は吸い寄せられてしまった。
「あの……勝手に、婚約してごめんなさい」
私がそう聞けば、ランスロットを首を横に振った。
「彼女を好きだったという過去の事実は、確かに何があっても変わりません。嫌がっていた人間から解放され、幸せであってくれればと……思います。ですが今の僕が、愛しているのはディアーヌなので」
「グウィネスは、ランスロットの手を振り払ったことをずっと後悔していたのね……」
彼女はあの時に、頑張れば良かったと嘆いていた。でも、それは次に活かすしかない。時間は決して戻らないから。
「生きていれば、後悔は付き纏います。絶対に間違いがなかったと、言い切れるような選択は難しい。僕も……ディアーヌの社交界デビューの日に、時間を巻き戻したいと何度も願いました」
彼の水色の目は、まるで透き通る氷のよう。それが温められて解けたら綺麗な涙になって、だからこうしてこぼれ落ちるのかもしれない。形の良い頬を滑り落ちた一粒の涙に、私の目は吸い寄せられてしまった。
「あの……勝手に、婚約してごめんなさい」