破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「お母様がディアーヌも是非候補に入れて欲しいと、仲良しの王妃様に頼んで居たのに。王子たちとの顔合わせが行われた時に、そんなの良いから領地に帰りたいと泣いたのはディアーヌ本人でしょう?」
「えっ……そうだったっけ。なんで、私。あの時に、領地に帰ったのか思い出せない……本当に覚えていないのよ……もうっ、後悔先に立たずだわ」
「確か……領地の館に産まれたばかりの子馬が見たいって、あの時に騒いでいたわよね。私は今も覚えてるわ」
ラウィーニアという名前と交わされている話の内容から、木の下で座り込んだ御令嬢二人の内の一人がライサンダー公爵令嬢だという事はすぐに知れた。我が国の王太子の婚約者の最有力候補だと言われている女性だ。美しく聡明で身分もあり、王族に嫁ぐに足る気品も兼ね備えている。
自分も決して口には出さないが、彼女に決まるだろうなとは思っている。王太子の彼女を見る目が、一人だけ特別なものだからだ。
だが、もう一人のディアーヌという令嬢の名前は、聞き覚えがなかった。少なくとも、王子たちの婚約者候補の中には入っていなかったはずだ。
「えっ……そうだったっけ。なんで、私。あの時に、領地に帰ったのか思い出せない……本当に覚えていないのよ……もうっ、後悔先に立たずだわ」
「確か……領地の館に産まれたばかりの子馬が見たいって、あの時に騒いでいたわよね。私は今も覚えてるわ」
ラウィーニアという名前と交わされている話の内容から、木の下で座り込んだ御令嬢二人の内の一人がライサンダー公爵令嬢だという事はすぐに知れた。我が国の王太子の婚約者の最有力候補だと言われている女性だ。美しく聡明で身分もあり、王族に嫁ぐに足る気品も兼ね備えている。
自分も決して口には出さないが、彼女に決まるだろうなとは思っている。王太子の彼女を見る目が、一人だけ特別なものだからだ。
だが、もう一人のディアーヌという令嬢の名前は、聞き覚えがなかった。少なくとも、王子たちの婚約者候補の中には入っていなかったはずだ。