破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「信じられない。子馬と王子様の二択を出されて……その時の私ってば、子馬を選んだのね……」

「だって貴女、あの時四歳よ? 自分の意志を伝えられるにしても幼かったし、訳もわかっていなかったんだから仕方ないわよ。ディアーヌはせっかく貴族だというのに、珍しく政略結婚しなくて良いんだから。妥協せずに、好きな男性を選べば良いでしょう? 例えば、どんな人が良いの?」

「真面目で、誠実で」

「その二つだけだと結構な人数が、その条件に当てはまりそうね……他には?」

「騎士が良いわ!」

「……騎士って。騎士だと、爵位のない次男や三男になるわよ? ディアーヌは政治的にも財政的にも、何の問題もないハクスリー伯爵家に産まれているんだから、伯爵位以上の嫡男とだって良いご縁が望めるのに」

「そんなの! だって、さっき見た騎士が凄く美形だったのよ。背も高くて身体も鍛えられていて、本当に、素敵だった……控えめに言って、結婚したいわ」

「我が国の王宮騎士団には、美形の騎士は多いけど……どんな騎士なの?」

「見事な美しい銀色の髪だったわ。背も高くて、見上げるくらいの……本当に、整った綺麗な顔していて」

< 243 / 254 >

この作品をシェア

pagetop