破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
 事の次第を聞いた新郎のランスロットは、自ら解決に乗り出して橋の問題を見事解決してしまうと私の式用の豪華なドレスは無事に間に合った。

 後は凝った髪型と式用の濃い目の化粧の最終点検だけなので、式の開始予定時間にもかなりの余裕がある。

 彼の魔法で川に架けられた氷の橋は、子どもたちが大喜びして騒ぎ出しそう。

 壁に掛かっている時計を横目に見て時間をそれとなく確認した私に、ラウィーニアは呆れた顔で肩を竦めた。

「きっと……通れなくて困っていた人も、たくさん居たでしょうし……商人たちは、信用が命だから。あのままだと時間に間に合わない人も居たと思うし、助かったでしょうね。でも、こんなに直前までひやひやするなんて思ってもみなかったわ。婚約が成立してすぐの結婚式は、こういうとんでもない危険性も秘めているのね」

 だから、通例では余裕を持って一年とか準備期間が取られるのだと思う。他人事のように頷いた私を見て、ラウィーニアは額に手を置いた。

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