破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
ランスロット・グラディスが私に話しかけたのを見て、周囲の目が集まるのを感じる。
それはきっと彼の容姿がまるで造りもののように整い過ぎているから、と言うだけではない。氷の騎士ランスロットが、興味のないはずの女性に声を掛けているのを見るのが初めてと言うのもきっと大きいと思う。しかも、彼のライバルで有名なクレメント・ボールドウィンと付き合っていたはずの私だ。
ざわざわとした興味本位な動揺が、大広間を口早に走っていくのを感じる。
研ぎ澄まされていると形容出来る程に、美しく芸術的に整っているランスロットの顔はいつも通り無表情だ。彼が一体何を考えているか、わからない。緊張も動揺なども全く見えない。落ち着き払った余裕のある様子を見せて、この前に告白した女の子に、愛を囁きに来ましたと言う甘い空気も一切ない。
「もしディアーヌ嬢が良ければ、どうかランスロットと……何か、飲み物など?」
私の空っぽの手を見てから、彼はまるで姫の側近くに仕える騎士のように甲斐甲斐しくそう口にした。
それはきっと彼の容姿がまるで造りもののように整い過ぎているから、と言うだけではない。氷の騎士ランスロットが、興味のないはずの女性に声を掛けているのを見るのが初めてと言うのもきっと大きいと思う。しかも、彼のライバルで有名なクレメント・ボールドウィンと付き合っていたはずの私だ。
ざわざわとした興味本位な動揺が、大広間を口早に走っていくのを感じる。
研ぎ澄まされていると形容出来る程に、美しく芸術的に整っているランスロットの顔はいつも通り無表情だ。彼が一体何を考えているか、わからない。緊張も動揺なども全く見えない。落ち着き払った余裕のある様子を見せて、この前に告白した女の子に、愛を囁きに来ましたと言う甘い空気も一切ない。
「もしディアーヌ嬢が良ければ、どうかランスロットと……何か、飲み物など?」
私の空っぽの手を見てから、彼はまるで姫の側近くに仕える騎士のように甲斐甲斐しくそう口にした。