破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
慌てて背の高い彼を見上げても、彼は何の表情も浮かべていない。そして、私はその時にラウィーニアが彼を評して不器用と言っていた言葉を思い出した。
「あの……」
それを指摘するか、しばし迷った。指摘して冗談にして笑えるような緩い空気でもない。
「……すみません。緊張してて」
彼の言葉に、私は一瞬耳を疑った。
とても当たり前のことだけれど、彼自身が一番に手が震えていることに気がついていたみたいだった。
氷の騎士ランスロットは、異性に興味はなく常に落ち着いていて冷静沈着。私は今までずっと彼はそういう人だと思っていたし、周囲の人もそう思っている人は多いだろう。
「緊張……」
信じられなくて思わずぽつりと私が呟いた声を聞いて、彼は微かに笑った。
「そうです。こうして……ディアーヌ嬢の手を取ることが出来て嬉しい。こちらに段が有りますので、気をつけて下さい」
歩きながら彼の顔をじっと見ていた私に、彼は親切に注意をしてくれた。夜のバルコニーに出れば、小さな可愛らしいランタンがいくつも灯されていた。とっても風情のある、夜を照らす美しい光。
「あの……」
それを指摘するか、しばし迷った。指摘して冗談にして笑えるような緩い空気でもない。
「……すみません。緊張してて」
彼の言葉に、私は一瞬耳を疑った。
とても当たり前のことだけれど、彼自身が一番に手が震えていることに気がついていたみたいだった。
氷の騎士ランスロットは、異性に興味はなく常に落ち着いていて冷静沈着。私は今までずっと彼はそういう人だと思っていたし、周囲の人もそう思っている人は多いだろう。
「緊張……」
信じられなくて思わずぽつりと私が呟いた声を聞いて、彼は微かに笑った。
「そうです。こうして……ディアーヌ嬢の手を取ることが出来て嬉しい。こちらに段が有りますので、気をつけて下さい」
歩きながら彼の顔をじっと見ていた私に、彼は親切に注意をしてくれた。夜のバルコニーに出れば、小さな可愛らしいランタンがいくつも灯されていた。とっても風情のある、夜を照らす美しい光。