破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「真剣な話をしている最中に笑ってしまい、すみません。まさか。自分が思ってもみなかった事をディアーヌ嬢から言われたのと……率直な物言いが、とても意外だったので」

 ランスロットは思わず笑ってしまったことを誤魔化すように軽く咳をしつつ、私を見た。そう。私は生まれ持った外見のせいだと思うのだけれど初対面の人からは、物凄く大人しくて乙女っぽい性格だと誤解されやすい。

 きっと、この彼もそう思っていたんだろうと口を尖らせる。

「……いいえ。私は良く人に誤解されるんですけど、外見と中身が合っていないんです。本当はお喋りだし良くない皮肉も言うし、上手くはないけど冗談を言うのも好きです……きっと、ランスロット様が想像していた人とは全然違います」

 ランスロットの中に、もし彼にとっての理想的な私が居るとしたら、それはこの世には存在しない幻想なのだと早い段階で理解して貰う方が良いのかもしれない。

 クレメントと付き合っていた時期には、かなり自分を殺して無理をして彼に合わせていたという自覚はあった。

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