破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
ぽつりとこぼれるような彼の言葉を聞いて、やっと自分が泣いていることに気がついた。頬を伝っていく、生温かな温度。ランスロットは、準備良くまたハンカチを渡してくれた。前に彼が私にそうしてくれたように。
ひとりでに、ぽろぽろと流れる涙を彼の貸してくれたハンカチで押さえた。みっともない嗚咽をして、泣いてしまう。一目散に逃げてきた壁際の死角になっている部分ではあるんだけれど、ランスロットはさりげなく人通りがあるかもしれない方向から自分の体を盾にした。
私が泣き止むまで、彼は何も言わずにじっとして待っていた。
「……ごめんなさい」
見上げれば、ランスロットはいつも通り何を考えているかわからない無表情で私を見下ろしていた。
ハクスリーの邸まで毅然として去って平気な顔を貫ければ、良かった。けれど、今どうしようもない事だとわかってはいても、心に湧き上がって来る悲しい想いは止めることが出来ない。
どうして、私ではダメだったの? さっき踊っていた綺麗な人と、何が違うの?
「いえ。それでは、帰りましょうか」
ひとりでに、ぽろぽろと流れる涙を彼の貸してくれたハンカチで押さえた。みっともない嗚咽をして、泣いてしまう。一目散に逃げてきた壁際の死角になっている部分ではあるんだけれど、ランスロットはさりげなく人通りがあるかもしれない方向から自分の体を盾にした。
私が泣き止むまで、彼は何も言わずにじっとして待っていた。
「……ごめんなさい」
見上げれば、ランスロットはいつも通り何を考えているかわからない無表情で私を見下ろしていた。
ハクスリーの邸まで毅然として去って平気な顔を貫ければ、良かった。けれど、今どうしようもない事だとわかってはいても、心に湧き上がって来る悲しい想いは止めることが出来ない。
どうして、私ではダメだったの? さっき踊っていた綺麗な人と、何が違うの?
「いえ。それでは、帰りましょうか」