破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「きっと、クレメント・ボールドウィンの嫌がらせの一環でしょうね。もし、ランスロットが、あの時、社交界デビューしてようやく求婚者を募ることになる伯爵令嬢のディアーヌに声を掛けようとしていた事を、彼が事前に知っていたとしたら? 彼を遅刻させるような、何かを仕掛けるなんてしごく簡単なはずよ。だって、階級も一緒の近い同僚だもの。何かを仕掛けようと思えば、どうとでもなるわ」
「最低……」
本当に、最低だった。
でも。確かにランスロットは初めて私と話した時に、失恋は辛いものだとそう言っていた。死にたくなるくらい、何もかもが無意味に思えるような、辛い思いをしたと。
「自分を嫌っているクレメント・ボールドウィンと一緒に居たディアーヌを見て、彼は絶望したでしょうね。そして、彼に恋をしてしまったディアーヌを見て、傷つけたくないと願った……ランスロットは、どんなに誘われても誰とも踊った事もないのを知っているでしょう? 誰とも、一度もよ。そんな彼が、貴女とは踊った。ディアーヌ。辛かったのは、貴女だけではないわ。どうか、わかってあげて」
「最低……」
本当に、最低だった。
でも。確かにランスロットは初めて私と話した時に、失恋は辛いものだとそう言っていた。死にたくなるくらい、何もかもが無意味に思えるような、辛い思いをしたと。
「自分を嫌っているクレメント・ボールドウィンと一緒に居たディアーヌを見て、彼は絶望したでしょうね。そして、彼に恋をしてしまったディアーヌを見て、傷つけたくないと願った……ランスロットは、どんなに誘われても誰とも踊った事もないのを知っているでしょう? 誰とも、一度もよ。そんな彼が、貴女とは踊った。ディアーヌ。辛かったのは、貴女だけではないわ。どうか、わかってあげて」