破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「ランスロット様」
銀色の少し長い髪が湿った風にたなびき、彼の整った顔に纏わりついた。いつ見ても、本当に羨ましいくらいに綺麗な顔をしている。私に名前を呼ばれた彼は、距離を置いて佇んでいた。まるで、近寄るなと忌避されることを恐れているように。
「……手紙を返して貰えないのは、無理もないと理解してはいます。貴女には、何の言い訳も出来ないことをしました。傷つけて……」
「待ってください……今は、謝らないで。まだ、許したくないから。それより、私は話がしたいんです」
落ち着いた口調でそう言えばランスロットは、首を傾げた。
あそこまで落ち込んだ原因の、原因を作ったのは彼だ。この場で激しく罵倒されても、おかしくはないと思っていたのかもしれない。
「話ですか?」
「そう。二人の争い……というか、私の見たところだと、クレメントだけが自分勝手に貴方をライバル視しているみたいですけど。それに巻き込まれた者の権利として知りたいです……ランスロット様は、私が社交界デビューした夜会に、遅刻しました?」
「……はい」
ランスロットは、目を逸らしわかりやすく項垂れた。どうやら、聡明なラウィーニアが睨んだ通りの展開だったようだ。
銀色の少し長い髪が湿った風にたなびき、彼の整った顔に纏わりついた。いつ見ても、本当に羨ましいくらいに綺麗な顔をしている。私に名前を呼ばれた彼は、距離を置いて佇んでいた。まるで、近寄るなと忌避されることを恐れているように。
「……手紙を返して貰えないのは、無理もないと理解してはいます。貴女には、何の言い訳も出来ないことをしました。傷つけて……」
「待ってください……今は、謝らないで。まだ、許したくないから。それより、私は話がしたいんです」
落ち着いた口調でそう言えばランスロットは、首を傾げた。
あそこまで落ち込んだ原因の、原因を作ったのは彼だ。この場で激しく罵倒されても、おかしくはないと思っていたのかもしれない。
「話ですか?」
「そう。二人の争い……というか、私の見たところだと、クレメントだけが自分勝手に貴方をライバル視しているみたいですけど。それに巻き込まれた者の権利として知りたいです……ランスロット様は、私が社交界デビューした夜会に、遅刻しました?」
「……はい」
ランスロットは、目を逸らしわかりやすく項垂れた。どうやら、聡明なラウィーニアが睨んだ通りの展開だったようだ。