破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「……それって、一般的な話? 俺は黙って訳もなく、後で泣かれるくらいなら。なんでも思っていることは、その時に明け透けに伝えてくれる気の強い女の方が好きだけど。あいつ……ランスロットは、どうだろうな」

「それって、どういう意味なの……?」

「そのままの意味。でもあいつ、お前だったら何でも良いんじゃね? 俺と付き合ってた間も、お前が傷つく事を一番に気にしていたみたいだし?」

 多分、クズなクレメントは「ディアーヌが傷つくけど、それで良いのか」みたいな事を言って、真面目なランスロットの事を傷つけて楽しんでいたんだと思う。本当に最低。

 でも、そうか。ランスロットには、どうせ仲の悪いクレメントへの嫌がらせの一環だと思って、最初から素を見せていたかも。口説かれようとしていた場面で頬を摘んでも、彼は笑っていたくらいだし。

「……ありがとうね。クレメント、私と付き合ってくれて」

 なんだか自分の中で、スッと色々なことが整理出来て。何だかすっきりした気持ちで私がそう言うと、クレメントは大袈裟に顔を顰めた。

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