【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
【2章】堅物王子と氷の姫君
17.女心と藁と猫
「ねぇ、コーエン」
そう尋ねたのはフリードだった。ぼんやりと窓の外を見つめながら、微笑みを浮かべている。
「なに?二人きりなのにそっちの呼び方?」
「だっていちいち変えてたらややこしいし、こっちの方がしっくりくるから」
「確かに」
答えながらコーエンはニヤリと口角を上げて笑う。
クララは今、礼部から報告書を受け取るため留守にしている。まだ出掛けて数分程度だというのに、随分と執務室がもの寂しく感じられるから不思議だ。
「そんで?どしたの?」
「いや……よくクララを一人で礼部に行かせたなぁって思って」
フリードは穏やかに目を細め、コーエンを見つめる。言われている意味が分からず、コーエンは小さく首を傾げた。
「そんなの、これまでだって普通に行かせてただろう?」
「うん。でも、聞けば最近、礼部の連中の目つきが変わってるらしいよ。……皆、マジでクララのこと狙ってるんだって。どうする?コーエン」
「は!?」
思わぬことに、コーエンは身を乗り出していた。
そう尋ねたのはフリードだった。ぼんやりと窓の外を見つめながら、微笑みを浮かべている。
「なに?二人きりなのにそっちの呼び方?」
「だっていちいち変えてたらややこしいし、こっちの方がしっくりくるから」
「確かに」
答えながらコーエンはニヤリと口角を上げて笑う。
クララは今、礼部から報告書を受け取るため留守にしている。まだ出掛けて数分程度だというのに、随分と執務室がもの寂しく感じられるから不思議だ。
「そんで?どしたの?」
「いや……よくクララを一人で礼部に行かせたなぁって思って」
フリードは穏やかに目を細め、コーエンを見つめる。言われている意味が分からず、コーエンは小さく首を傾げた。
「そんなの、これまでだって普通に行かせてただろう?」
「うん。でも、聞けば最近、礼部の連中の目つきが変わってるらしいよ。……皆、マジでクララのこと狙ってるんだって。どうする?コーエン」
「は!?」
思わぬことに、コーエンは身を乗り出していた。