【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
(ちょっと休憩……)
今から執務室に戻った所で大した仕事はできそうにない。少し息を整えるぐらいの時間は許されるだろう。クララは身体を休められそうな木陰を探し、そこにそっと腰掛ける。先程貰った茶菓子の封を一つ開け、息を吐く。
「ミィ」
けれどその時、すぐ近くから高く可愛らしい、小さな声が聞こえた。
何だろう、とクララは視線を彷徨わせる。
「みぃみぃ」
次いで聞こえるのは、先程の愛らしい声――――――ではなく、野太い男の声だ。クララはビクリと身体を震わせた。
「よしよし、こっちにおいで」
威圧感の強いバリトンボイスが奇妙に和らぎ、クララの耳に届く。この声の主をクララは知っていた。
(まさか……)
声のする方へ歩を進め、気づかれぬよう覗き込む。
するとそこには、クララの想像通りの人物――――愛らしい仔猫を抱いてだらしなく笑うこの国の第1王子――――カールがいた。
今から執務室に戻った所で大した仕事はできそうにない。少し息を整えるぐらいの時間は許されるだろう。クララは身体を休められそうな木陰を探し、そこにそっと腰掛ける。先程貰った茶菓子の封を一つ開け、息を吐く。
「ミィ」
けれどその時、すぐ近くから高く可愛らしい、小さな声が聞こえた。
何だろう、とクララは視線を彷徨わせる。
「みぃみぃ」
次いで聞こえるのは、先程の愛らしい声――――――ではなく、野太い男の声だ。クララはビクリと身体を震わせた。
「よしよし、こっちにおいで」
威圧感の強いバリトンボイスが奇妙に和らぎ、クララの耳に届く。この声の主をクララは知っていた。
(まさか……)
声のする方へ歩を進め、気づかれぬよう覗き込む。
するとそこには、クララの想像通りの人物――――愛らしい仔猫を抱いてだらしなく笑うこの国の第1王子――――カールがいた。