【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
(やばい、やばい、やばい!)


 あまりのギャップについ見呆けてしまっていたが、カールにバレたときのことは考えていなかった。頭の中でけたたましい警報音が鳴り響く。


(絶対に怒られる!いや、怒られるだけじゃ済まないのでは!?わたしだけなら良いけど、お父様にまで迷惑掛けたら……)


 半ばパニックに陥りながら、クララは呆然と立ち尽くす。気を抜けば、今にも涙が溢れ出しそうだった。


「おい、おまえ」

「はいぃっ!」


 クララは反射的に姿勢を正す。


「すみません、すみませんっ!本当に!心の底から反省しています!ここで見たことは絶対!絶対誰にも言いませんから!」


 お許しください、とクララは必死に声を張り上げ、土下座せんばかりの勢いで頭を下げる。

 けれど、しばらく経ってもカールは何も言わない。

 不安で堪らなかったが、ずっとこのままでいるわけにもいかず、クララはそろそろと顔を上げ、カールの表情を窺う。

 すると、彼は思いのほか怒っていないらしい。普段のむすっとした表情に戻っていたが、その瞳はどこか優しかった。


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