【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「相手はどこのどいつなんだ!?」

「そんなの、教えるわけないでしょう?邪魔されたくないもの」


 興奮したように顔を赤らめるコーエンに、クララは素っ気なく言い放つ。

 相変わらず演技が上手なことで、と冗談めかして言ってみたいが、そもそも最近コーエンから、クララを気に掛けるようなアプローチもない。クララが堕ちたことで、もう必要性がないとでも思ったのだろうか。


(わたしのことを管理したいなら、安心なんてしないでよね)


 心の中であっかんべーをしながら、クララは不敵に笑う。

 コーエンは思い通りにならないことが余程歯痒いのだろうか。眉間に皺を寄せ、パクパクと口を開け閉めしている。

 対するフリードは呆気にとられたような表情を浮かべているものの、事態を面白がっているようにも見えた。


「それじゃぁ行ってきます」


 満面の笑みを浮かべて、クララは手を振る。

 フリードは姿の見えなくなったクララに笑顔で手を振り返すと、悔し気に震えているコーエンの肩をそっと叩いた。


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