【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
フリードの宮殿の端にある、今は誰にも使われていない小部屋。クララは1日数回はこの部屋を訪れる。そして、その内の一回だけは時間が決まっていた。
「遅い!一体なにをしていた!」
扉を開けた瞬間、思った通りに声を荒げられ、クララはため息を吐く。
がっしりと筋肉の付いた長身に、眉間に深く刻まれた皺、けれど腕の中に小さくて愛らしい仔猫を大事に抱えた男性――――カールが目の前に立っていた。
これまでと変わらぬ威圧的な声に態度。けれど、最初の頃に感じていたような恐れはもう抱いていない。相変わらず大きい声だなぁ、と思う程度だ。
「なにって、当然お仕事です。わたしは内侍ですから」
「そうは言ってもこちらもおまえの仕事だ。俺が命令した、れっきとした仕事だろう」
カールはそう主張するなりムスッと唇を引き結んだ。
「遅い!一体なにをしていた!」
扉を開けた瞬間、思った通りに声を荒げられ、クララはため息を吐く。
がっしりと筋肉の付いた長身に、眉間に深く刻まれた皺、けれど腕の中に小さくて愛らしい仔猫を大事に抱えた男性――――カールが目の前に立っていた。
これまでと変わらぬ威圧的な声に態度。けれど、最初の頃に感じていたような恐れはもう抱いていない。相変わらず大きい声だなぁ、と思う程度だ。
「なにって、当然お仕事です。わたしは内侍ですから」
「そうは言ってもこちらもおまえの仕事だ。俺が命令した、れっきとした仕事だろう」
カールはそう主張するなりムスッと唇を引き結んだ。