【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「それで、この仔猫はこのままここにいて問題ないだろうか?」


 どうやら彼にとってはこちらが本題だったらしい。クララはしばらく逡巡してから、真っ直ぐにカールを見つめた。


「あまり宜しくはないかと……。見れば生後間もないようですし、この辺は大型の鳥類も頻繁に見かけますから」

「……ならばどうするのが良いと思う?」


 カールが全てを独断専行するタイプの人間だと思っていたクララは、思いのほか彼がクララの意見を聞こうとすることに戸惑ってしまう。


(それだけ、この子のことを大事に想ってるってことなんだろうけど)


 ミャウ、と甘えるように仔猫がカールを見つめる。あまりの可愛さに頭を撫でてやりながら、クララはコホンと咳ばらいをした。


「それは当然、殿下がご自身の宮殿に連れ帰られるのが宜しいかと」

「俺の宮殿、だと?」

「はい。そうすれば好きな時に会うことができますし、可愛がれます。この子も殿下に懐いてますし」

「ふぅむ……」


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