【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
休暇とは名ばかり。
今回クララたちは、陛下の指示を受け、この森へ狩猟に訪れていた。
狩猟は王族や一部の貴族だけに許された特権で、レジャーとしても人気がある。
けれど、今回の狩猟は『王位継承戦』の一つだ。明確にそうと告げられたわけではないが、国王の意図は誰の目にも明らかだった。
「ふん、狩で俺に勝てると本気で思っているのか?」
その時、背後から響いた太く響く声に、クララたちは一斉に振り返る。
「カール殿下――――お久しぶりです」
声の主は第1王子、カールだった。
丁寧に挨拶をしながらクララは微笑む。彼に会うのは、コーエンに定時報告の現場を押さえられて以来、実にひと月ぶりだった。
「ん。おまえは相変わらず元気そうだな」
そう言ってカールは穏やかに目を細める。先程の挑発的な発言とのあまりの温度差に、クララは小さく笑った。
「あの子は――――仔猫は元気か?」
「はい。変わらず元気に過ごしていますよ。たくさん悪戯をするようになって、侍女たちは困ってますけど」
あの後、カールとフリードとの間に、どんなやり取りがあったのかは分からない。けれど、クララたちが部屋に戻ると、何故かフリードが仔猫を引き取ることになっていた。
クララは担当から外されたため、たまに様子を見に行く程度だが、仔猫は今も侍女たちに可愛がられ、すくすくと育っている。
時々はカールも面会に来ているらしい。クララと鉢合わせしないように、フリードが調整をしているのだと、こっそり侍女が耳打ちしてくれた。
今回クララたちは、陛下の指示を受け、この森へ狩猟に訪れていた。
狩猟は王族や一部の貴族だけに許された特権で、レジャーとしても人気がある。
けれど、今回の狩猟は『王位継承戦』の一つだ。明確にそうと告げられたわけではないが、国王の意図は誰の目にも明らかだった。
「ふん、狩で俺に勝てると本気で思っているのか?」
その時、背後から響いた太く響く声に、クララたちは一斉に振り返る。
「カール殿下――――お久しぶりです」
声の主は第1王子、カールだった。
丁寧に挨拶をしながらクララは微笑む。彼に会うのは、コーエンに定時報告の現場を押さえられて以来、実にひと月ぶりだった。
「ん。おまえは相変わらず元気そうだな」
そう言ってカールは穏やかに目を細める。先程の挑発的な発言とのあまりの温度差に、クララは小さく笑った。
「あの子は――――仔猫は元気か?」
「はい。変わらず元気に過ごしていますよ。たくさん悪戯をするようになって、侍女たちは困ってますけど」
あの後、カールとフリードとの間に、どんなやり取りがあったのかは分からない。けれど、クララたちが部屋に戻ると、何故かフリードが仔猫を引き取ることになっていた。
クララは担当から外されたため、たまに様子を見に行く程度だが、仔猫は今も侍女たちに可愛がられ、すくすくと育っている。
時々はカールも面会に来ているらしい。クララと鉢合わせしないように、フリードが調整をしているのだと、こっそり侍女が耳打ちしてくれた。