【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「そうか。それで――――」

「――――ストップ。それで?あなたはわざわざ、俺たちに宣戦布告しにいらっしゃったんですか?」


 コーエンはそう言ってクララの腰をグイッと引寄せると、己の背後に隠す。先程までの楽し気な表情から一転、慇懃で不敵な、宮廷用の顔つきになっていた。


「当然だ。この狩で俺は、己の戦闘能力と統率力、王者としての貫禄を示す!この国に今必要なものは軍事力!そのことを陛下に理解いただくつもりだ」


 カールはいつも通り、自信に満ち溢れた表情でそう言い放つ。途端に漂うビリビリとした緊張感。やはり、仔猫の絡まないカールは気迫が違って見えた。


「ヨハネスの奴はもう、この勝負を投げている。奴は剣も弓もからっきしだからな。けれど不戦勝などつまらん!どうせなら俺は良い勝負をし、その上で王座を取りに行きたい」


 勝利を確信して上向く唇。確固たる決意を感じる眼差しに、クララは武者震いを覚える。


(でも)


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