【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「クララ様」
その時、背後からクララの名を呼ぶ声がした。イゾーレの声だ。
けれど、顔を上げてすぐ、クララは「えっ!?」と目を丸くした。
「お隣、宜しいでしょうか」
「そ、そりゃぁ宜しいけど……」
答えながらクララはついつい口ごもってしまう。
イゾーレは普段流している長い髪の毛を高い位置で一つにまとめ、軍服を身に纏い、見るからに重そうな剣を腰に挿していた。女騎士さながらの風貌。けれどそれが、イゾーレによく似合っている。
(だけど、さっきまではドレス姿だった筈なのになぁ)
不思議に感じている間に、イゾーレはクララの隣に腰掛ける。彫刻でできたかのような美しく凛々しい横顔に、クララはほぅとため息を吐いた。
「どうしたの?その服装」
「殿下にお借りしたのです。……本当はこの装備で狩にも付いていきたかったのですが、断られてしまいました」
イゾーレは抑揚のない声でそう語る。けれど、何故だかクララにはその奥に隠されたイゾーレの感情が読み取れるようになっていた。
「残念だったわね」
「はい、とても。……私も殿下のお役に立ちたかったのに」
真っ白なイゾーレの手のひらが、ギュッと剣の柄を握る。何やら意地らしいその様に、クララはキュンと心臓を高鳴らせた。
その時、背後からクララの名を呼ぶ声がした。イゾーレの声だ。
けれど、顔を上げてすぐ、クララは「えっ!?」と目を丸くした。
「お隣、宜しいでしょうか」
「そ、そりゃぁ宜しいけど……」
答えながらクララはついつい口ごもってしまう。
イゾーレは普段流している長い髪の毛を高い位置で一つにまとめ、軍服を身に纏い、見るからに重そうな剣を腰に挿していた。女騎士さながらの風貌。けれどそれが、イゾーレによく似合っている。
(だけど、さっきまではドレス姿だった筈なのになぁ)
不思議に感じている間に、イゾーレはクララの隣に腰掛ける。彫刻でできたかのような美しく凛々しい横顔に、クララはほぅとため息を吐いた。
「どうしたの?その服装」
「殿下にお借りしたのです。……本当はこの装備で狩にも付いていきたかったのですが、断られてしまいました」
イゾーレは抑揚のない声でそう語る。けれど、何故だかクララにはその奥に隠されたイゾーレの感情が読み取れるようになっていた。
「残念だったわね」
「はい、とても。……私も殿下のお役に立ちたかったのに」
真っ白なイゾーレの手のひらが、ギュッと剣の柄を握る。何やら意地らしいその様に、クララはキュンと心臓を高鳴らせた。