【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「けれど殿下!宜しいのですか?本当に私があなたの妃で」


 そう言ってイゾーレは気づかわし気にクララを見る。

 『クララを守る』というカールの指示が、皆が生き残るためのものだと理解はしていても、どうにもイゾーレは不安が拭えないらしい。

 けれどカールは豪快な笑みを浮かべると、ずいと身を乗り出した。


「当然だ!お前以外の人間に、俺の妃が務まるわけがないだろう?それとも、イゾーレは俺では不足か?」


 カールは首を傾げながら、ほんの少し不安げな表情を見せる。
 これまで隠されたカールの表情を見てきたクララでも初めて見る、何やら胸を打つ表情だ。


「そんな……とんでもございません!殿下の妃候補に選ばれたことは、身に余る幸福だと思っております」


 イゾーレは身を起こし、カールに向かって深々と頭を下げる。

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