【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
それが彼女の本心であることは、誰の目にも明らかだ。
けれどイゾーレは、再び口を開いた。
「ですが私はクララ様のような社交性がありません。おまけに今回の件で、頬に大きな傷まで負ってしまいました。傷物の私が妃では、完璧な殿下に傷を付けるかのようで――――」
しかし、イゾーレの言葉はそれ以上続かなかった。
ただ唇を重ねるだけの不器用なキス。けれど、イゾーレにもカールにも、それがあまりにもしっくり来る。
感情を見せるのが下手くそな二人だからこそ、こんな不器用な触れ合いの中に、確かな何かを見つけられるのかもしれない。そんなことをクララは思った。
「……その傷は、お前の武勇の証だ。勇敢で誰よりも強く美しい女性――――お前以外にそんな女は存在しない。だから絶対にイゾーレ以外に俺の妃になれる者はいない!……そうだろう?」
頬を真っ赤に染めたイゾーレの身体を軋むほどに抱き締めながら、カールはニカッと笑う。
イゾーレはまるで時が止まったかのように固まっていたが、ややしてそっと、カールの背中に己の腕を回した。
「はい……!はい、殿下!私があなたの妃です!絶対にカール様に相応しい妃になります!」
ポロポロと涙を流し、満面の笑みを浮かべたイゾーレが声を張り上げる。
かくしてクララの見守る中、この国の第1王子、カールの婚約が正式に決まったのだった。
けれどイゾーレは、再び口を開いた。
「ですが私はクララ様のような社交性がありません。おまけに今回の件で、頬に大きな傷まで負ってしまいました。傷物の私が妃では、完璧な殿下に傷を付けるかのようで――――」
しかし、イゾーレの言葉はそれ以上続かなかった。
ただ唇を重ねるだけの不器用なキス。けれど、イゾーレにもカールにも、それがあまりにもしっくり来る。
感情を見せるのが下手くそな二人だからこそ、こんな不器用な触れ合いの中に、確かな何かを見つけられるのかもしれない。そんなことをクララは思った。
「……その傷は、お前の武勇の証だ。勇敢で誰よりも強く美しい女性――――お前以外にそんな女は存在しない。だから絶対にイゾーレ以外に俺の妃になれる者はいない!……そうだろう?」
頬を真っ赤に染めたイゾーレの身体を軋むほどに抱き締めながら、カールはニカッと笑う。
イゾーレはまるで時が止まったかのように固まっていたが、ややしてそっと、カールの背中に己の腕を回した。
「はい……!はい、殿下!私があなたの妃です!絶対にカール様に相応しい妃になります!」
ポロポロと涙を流し、満面の笑みを浮かべたイゾーレが声を張り上げる。
かくしてクララの見守る中、この国の第1王子、カールの婚約が正式に決まったのだった。