【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「その……殿下とコーエンの関係なんですけど。実はまだ聞いたことが無かったなぁって思いまして」

「コーエンとの?あれ、そうだったっけ?」


 フリードは少し大げさに目を丸くし、小さく首を傾げた。


「はい。古くからのお知り合いなのは見ていてわかるんですが、殿下とコーエンって王子と側近の関係にしては距離感が近いというか。絶対的な信頼関係があるなぁと思いまして」


 恐らくフリードたちは意図的に話していなかったのだろう。けれど、反応を見るに、話してくれないわけではないらしい。クララはドキドキしながら、フリードの次の言葉を待った。


「コーエンとボクはね――――血を分けた実の兄弟なんだよ?」


 二人しか乗っていない馬車の中、フリードは声を潜めて笑う。


(殿下とコーエンが血を分けた……って!)

「…………えぇっ!?」


 さすがのクララも、そこまでの関係性は想定していなかった。
 せいぜいは乳兄弟であるとか、一緒に育ってきたとか、そういった返しを期待していたのだ。


「ほ、本当ですか?」

「ふふ、こんなこと嘘で言えないよ。クララが信じられないのは当然だと思うけど」


 内緒にしてね、と囁くフリードに、クララはコクコクと頷いた。


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