【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「あの、それって王妃様が元々は当時の第3王子の内侍だったことが関係するのでしょうか?」


 お茶会の中でフリードの母親は、彼女が元々は当時の第3王子の内侍であったこと、第4王子が国王になることが決まってから、王妃の一人として召し上げられることが決まったと話してくれたことを思い出す。


(コーエンは前第3王子の息子――――?)


 もしも王妃が、コーエンを出産した後に現国王の妃として迎えられていたとしたら。そして、その後に生まれた国王の息子がフリードだったとしたなら。


(辻褄が合う)


 コーエンのあの利発さも、人を惹きつけるカリスマ性も。クララの中で全てが繋がった気がした。


「クララの見込みの通りだよ。現国王の王妃が4人になったこと。それが、ボクとコーエンを繋いでいるんだ」


 フリードはそう言って穏やかに微笑んだ。

 クララの心がざわざわと騒ぎ始める。興奮で身体中の血液が躍り始めたのが分かる。
 己の感情を整理するため、クララはゴクリと唾を呑み、目を瞑る。すると、驚くほどすんなりと、自分が何を思っているのかが分かった。


(……コーエンが王太子になれたら良いのに)


 仕えているフリードに対して失礼な考えなのかもしれない。
 けれど、それがクララの正直な気持ちだった。


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