【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「今からする話は他言無用だ。――――特にクララ。宰相にも決して口外しないように」
唐突に飛んでくる厳しい視線に、クララは思わず姿勢を正し、「はい!」と答える。まるでよく訓練された騎士そのものである。
(……あっ!っていうかカール殿下ってちゃんと、わたしの名前を覚えてたのね)
思い返せばいつも、『おい』とか『おまえ』と呼ばれていた。えらい進歩だ。感動で密かに瞳を潤ませつつ、クララは小さく咳払いした。
「例の――――里の人間による密猟の件を騎士たちに調べさせていたのだが、妙なことが分かった」
「……妙?」
フリードが首を傾げながら先を促す。カールはイゾーレに地図を持ってこさせると、テーブルの上に広げて見せた。
「ここが今回、俺たちが狩に赴いた里。それから、それ以外で密猟の確認された地域を現している」
カールは小さなピンをいくつも地図に刺していきながら説明する。
あの一件の後、コーエン達は調査の対象を他の地域にも広げることに決めた。騎士たちを地方に派遣し、森や林、周辺の市場を調べる。すると、想像以上に多くの場所で密猟の事実が確認されたのだという。
「この地図を見て、何か気づかないか?」
カールはコーエンを見つめながら、ぶっきら棒に尋ねる。コーエンはしばらく黙って地図を見ていたが、ややして徐に口を開いた。
「集中してるな――――」
けれど、クララは思い切り首を傾げる。
テーブルに置かれた地図は国土全てを描いたものだし、ピンの刺された場所は見た限り集中していない。ポツンぽつんと散在しているように見える。
そんなクララの疑問に答えるように、コーエンが言葉を重ねた。
唐突に飛んでくる厳しい視線に、クララは思わず姿勢を正し、「はい!」と答える。まるでよく訓練された騎士そのものである。
(……あっ!っていうかカール殿下ってちゃんと、わたしの名前を覚えてたのね)
思い返せばいつも、『おい』とか『おまえ』と呼ばれていた。えらい進歩だ。感動で密かに瞳を潤ませつつ、クララは小さく咳払いした。
「例の――――里の人間による密猟の件を騎士たちに調べさせていたのだが、妙なことが分かった」
「……妙?」
フリードが首を傾げながら先を促す。カールはイゾーレに地図を持ってこさせると、テーブルの上に広げて見せた。
「ここが今回、俺たちが狩に赴いた里。それから、それ以外で密猟の確認された地域を現している」
カールは小さなピンをいくつも地図に刺していきながら説明する。
あの一件の後、コーエン達は調査の対象を他の地域にも広げることに決めた。騎士たちを地方に派遣し、森や林、周辺の市場を調べる。すると、想像以上に多くの場所で密猟の事実が確認されたのだという。
「この地図を見て、何か気づかないか?」
カールはコーエンを見つめながら、ぶっきら棒に尋ねる。コーエンはしばらく黙って地図を見ていたが、ややして徐に口を開いた。
「集中してるな――――」
けれど、クララは思い切り首を傾げる。
テーブルに置かれた地図は国土全てを描いたものだし、ピンの刺された場所は見た限り集中していない。ポツンぽつんと散在しているように見える。
そんなクララの疑問に答えるように、コーエンが言葉を重ねた。