【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「ヨハネス殿下はカール殿下やフリード殿下のように、内侍以外の側近をお付けにならないのですね。何か理由が?」
「――――――そうだね」
ヨハネスはそう言って、ゆっくりと目を細めた。
これまでの和やかな雰囲気が一気に揺らぎ、妖しげな視線がクララを捉える。身の毛がよだち、緊張感が走った。
「僕はね、基本的に他人のことを信用していないんだ。人は皆、嘘を吐く生き物だからね」
ヨハネスはそう言って、不敵な笑みを浮かべる。
「側近を置くことは簡単だよ。父上にひとこと頼めばいい。けれど、無能な人間を何人置いても意味がないし、かえって煩わしいだけだ」
華やかで明るいヨハネスの影。それは普段人に見せない分、際立って暗い。クララはゴクリと唾を呑み込んだ。
「だからそう――――レイチェルや君のように、打算が透けて見える人間の方が、一緒にいて安心するんだ。こちらも遠慮なく、君たちのことを利用ができるからね」
ヨハネスはニコリと笑いながら、クララの手を握った。冷やりと冷たい手のひら。身動ぎしかけて、すぐに心の中で首を横に振る。
「僕に力になって欲しいんだったね?良いよ、聞いてあげる。君が僕の提示する条件を飲んでくれれば、だけど」
(狼狽えちゃダメ。今切り込まないで、いつ切り込むの!)
クララは努めて穏やかに微笑みながら、ヨハネスの瞳を覗き込んだ。
「――――――そうだね」
ヨハネスはそう言って、ゆっくりと目を細めた。
これまでの和やかな雰囲気が一気に揺らぎ、妖しげな視線がクララを捉える。身の毛がよだち、緊張感が走った。
「僕はね、基本的に他人のことを信用していないんだ。人は皆、嘘を吐く生き物だからね」
ヨハネスはそう言って、不敵な笑みを浮かべる。
「側近を置くことは簡単だよ。父上にひとこと頼めばいい。けれど、無能な人間を何人置いても意味がないし、かえって煩わしいだけだ」
華やかで明るいヨハネスの影。それは普段人に見せない分、際立って暗い。クララはゴクリと唾を呑み込んだ。
「だからそう――――レイチェルや君のように、打算が透けて見える人間の方が、一緒にいて安心するんだ。こちらも遠慮なく、君たちのことを利用ができるからね」
ヨハネスはニコリと笑いながら、クララの手を握った。冷やりと冷たい手のひら。身動ぎしかけて、すぐに心の中で首を横に振る。
「僕に力になって欲しいんだったね?良いよ、聞いてあげる。君が僕の提示する条件を飲んでくれれば、だけど」
(狼狽えちゃダメ。今切り込まないで、いつ切り込むの!)
クララは努めて穏やかに微笑みながら、ヨハネスの瞳を覗き込んだ。