【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「どうしてそこで、ヨハネスが出てくるんだ?」
ギリギリと掴まれた肩が痛む。
クララはコーエンを見上げながら、穏やかに微笑んだ。
「取引をしたの。フリード殿下以外の人間が王太子になったら、わたしはヨハネス殿下の妃になる。その対価として、わたしは財部から資料を貸し出してもらった」
コーエンはひっそりと息を呑みつつ、真剣な眼差しでクララを見つめている。
「どうして、そんなことを」
「コーエンの力になりたかった。コーエンが王位を手にするための手助けに少しでもなれば良いと思った。それに、王女と結婚するコーエンが、わたしとも結婚するなんて無理な話だもの。だからわたしは、わたし自身の退路と未練を断ちたかったの」
女王の夫となる人に、側室が存在していいわけがない。だから、クララはコーエンと結婚できるはずがないのだ。
「俺以外の男で良いと――――クララはそう思ったの?」
心臓を鷲掴みにするかのような言葉。
(そんなこと、あるわけない)
首を大きく横に振りながら、クララはコーエンを見上げた。
ギリギリと掴まれた肩が痛む。
クララはコーエンを見上げながら、穏やかに微笑んだ。
「取引をしたの。フリード殿下以外の人間が王太子になったら、わたしはヨハネス殿下の妃になる。その対価として、わたしは財部から資料を貸し出してもらった」
コーエンはひっそりと息を呑みつつ、真剣な眼差しでクララを見つめている。
「どうして、そんなことを」
「コーエンの力になりたかった。コーエンが王位を手にするための手助けに少しでもなれば良いと思った。それに、王女と結婚するコーエンが、わたしとも結婚するなんて無理な話だもの。だからわたしは、わたし自身の退路と未練を断ちたかったの」
女王の夫となる人に、側室が存在していいわけがない。だから、クララはコーエンと結婚できるはずがないのだ。
「俺以外の男で良いと――――クララはそう思ったの?」
心臓を鷲掴みにするかのような言葉。
(そんなこと、あるわけない)
首を大きく横に振りながら、クララはコーエンを見上げた。