【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「わたしが好きなのはコーエンだけ。これから先もずっと、それは変わらない。だけどわたしは、未来の王様としてのコーエンに惚れこんでしまったから」


 いつまでも『政略結婚は嫌だ』と駄々を捏ねるだけの子どもではいられない。ヨハネスならば、決して手に入ることのない愛する人を、心の中で密かに想い続けることは許してくれるだろう。


「分かった」


 コーエンは低い声でそう呟く。
 分かってもらえて嬉しいような、切ないような、複雑な気持ちだ。


「フリード以外の人間が王太子になったらクララはヨハネスと結婚する――――そういう契約なんだな」


 念押しをするかのように、コーエンが言う。


「うん。だけど、わたしはコーエンに王位継承権を得てほしいから――――っ!」


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