【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「――――クララが俺を変えたんだ。俺を選んでくれたクララのために、この国をもっともっと強く豊かにしたい。王太子として、引っ張っていきたいって。そう思った」
コーエンがそっとクララの顔を上向ける。泣きぬれた青い瞳は美しく、クララは思わず手を伸ばす。けれど、彼の頬に触れる前に、クララの手のひらはコーエンの唇に優しく口づけられていた。
「クララじゃなきゃ、ダメなんだ」
真剣な眼差し。クララの心臓が大きく跳ねる。
(忘れるわけがない)
それはコーエンがクララに求婚したあの日、彼が口にした言葉と同じだった。
コーエンの手のひらがクララの頭をそっと撫でる。指が探るように動いて、それからゆっくりと下に降りていく。
「んっ……」
少しだけ皮膚が引っ張られるような感覚。見ればコーエンの手の中には、ヨハネスから贈られた髪飾りが収まっていた。
「これはもう、要らないだろう?」
己の懐に髪飾りを終いながら、コーエンはクララに尋ねる。次いでクララの頬がほんのりと紅く染まった。
コーエンがそっとクララの顔を上向ける。泣きぬれた青い瞳は美しく、クララは思わず手を伸ばす。けれど、彼の頬に触れる前に、クララの手のひらはコーエンの唇に優しく口づけられていた。
「クララじゃなきゃ、ダメなんだ」
真剣な眼差し。クララの心臓が大きく跳ねる。
(忘れるわけがない)
それはコーエンがクララに求婚したあの日、彼が口にした言葉と同じだった。
コーエンの手のひらがクララの頭をそっと撫でる。指が探るように動いて、それからゆっくりと下に降りていく。
「んっ……」
少しだけ皮膚が引っ張られるような感覚。見ればコーエンの手の中には、ヨハネスから贈られた髪飾りが収まっていた。
「これはもう、要らないだろう?」
己の懐に髪飾りを終いながら、コーエンはクララに尋ねる。次いでクララの頬がほんのりと紅く染まった。