【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「ねえ、それってもしかして、俺のため?」
揶揄するような口調。クララの頬が真っ赤に染まる。
「そうよ――――当たり前でしょう?」
コーエンに相応しい女性、王太子妃になるために努力をしている――――そう実感できることが、クララは堪らなく嬉しかった。下地が全く無いが故、余計に。だからこそ、散々な目に遭うだろうと予想しつつも、カールの提案に乗ったのだ。
「まあ、ちょっとペースが早すぎるし、いきなりスパルタ教育されても身体が追い付かないから、そこは何とかしてほしいところだけど」
そう言って微笑むクララを、コーエンは愛し気に見つめる。頬を撫で、目を細め、それからゆっくりと唇を寄せる。チュッと小さな音が鳴り、頬が熱を帯びていく。
もう一度、今度は唇同士を重ね合わせ、二人は互いを抱き締めた。トクトクと響く鼓動。温もりは大層心地良く、安心する。
(ずっとこうしていたい)
再会の余韻に酔いしれつつ、クララは満面の笑みを浮かべる。
だけどその時、
「あの~~~~」
遠慮がちに響く声に、弾かれたように顔を上げた。
「ジェシカ」
バツの悪そうな表情を浮かべ、ジェシカが二人の前へとやって来る。
フリードの振りをしていた頃と同じように、麗しい男装姿。何も知らない人間は、彼女が女性――――しかも王女であるとは気づけない。下手な男よりもずっと男らしい、凛々しい女性だった。
「折角の再会に水を差して申し訳ないんだけどさ、陛下がフリードを呼んでるんだ。ボク達二人に頼みたい仕事があるんだって」
ジェシカはそう言って、気づかわし気な視線をクララに送る。残念ながら、クララの同席は認められなかったのだろう。未来の王太子妃とはいえ、コーエンと全てを共有できるわけではない。
「ごめん、クララ。また後で」
そう言ってコーエンは、クララの額にキスをする。
「いってらっしゃい」
微笑めば、コーエンは名残惜し気にもう一度口付け、ジェシカの後に続いた。
揶揄するような口調。クララの頬が真っ赤に染まる。
「そうよ――――当たり前でしょう?」
コーエンに相応しい女性、王太子妃になるために努力をしている――――そう実感できることが、クララは堪らなく嬉しかった。下地が全く無いが故、余計に。だからこそ、散々な目に遭うだろうと予想しつつも、カールの提案に乗ったのだ。
「まあ、ちょっとペースが早すぎるし、いきなりスパルタ教育されても身体が追い付かないから、そこは何とかしてほしいところだけど」
そう言って微笑むクララを、コーエンは愛し気に見つめる。頬を撫で、目を細め、それからゆっくりと唇を寄せる。チュッと小さな音が鳴り、頬が熱を帯びていく。
もう一度、今度は唇同士を重ね合わせ、二人は互いを抱き締めた。トクトクと響く鼓動。温もりは大層心地良く、安心する。
(ずっとこうしていたい)
再会の余韻に酔いしれつつ、クララは満面の笑みを浮かべる。
だけどその時、
「あの~~~~」
遠慮がちに響く声に、弾かれたように顔を上げた。
「ジェシカ」
バツの悪そうな表情を浮かべ、ジェシカが二人の前へとやって来る。
フリードの振りをしていた頃と同じように、麗しい男装姿。何も知らない人間は、彼女が女性――――しかも王女であるとは気づけない。下手な男よりもずっと男らしい、凛々しい女性だった。
「折角の再会に水を差して申し訳ないんだけどさ、陛下がフリードを呼んでるんだ。ボク達二人に頼みたい仕事があるんだって」
ジェシカはそう言って、気づかわし気な視線をクララに送る。残念ながら、クララの同席は認められなかったのだろう。未来の王太子妃とはいえ、コーエンと全てを共有できるわけではない。
「ごめん、クララ。また後で」
そう言ってコーエンは、クララの額にキスをする。
「いってらっしゃい」
微笑めば、コーエンは名残惜し気にもう一度口付け、ジェシカの後に続いた。