【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
(帰って早々、慌ただしいわね)
ため息を一つ、クララはコーエンの後姿を見送る。
コーエンはクララと結婚するために、王太子となることを選んだ。
優秀だが、権力欲の無かったコーエン。そんな彼が、こうして意欲的に公務を熟しているのを見ると、誇らしさと同時に一抹の寂しさを覚える。
(もっとコーエンと一緒に居たい)
すれ違いを経て、ようやく想いが通じ合ったのだ。愛を育む時間が欲しいと思ってしまうのは致し方ない。彼を王に望んだのは自分だし、当然、クララはワガママを言える立場には無いのだけど。
「――――もしもしお嬢さん」
その時、誰かがクララに声を掛けた。以前耳にしたのと全く同じセリフ、同じ声音。確信を胸に、クララは静かに振り返る。
「ヨハネス殿下」
そこに居たのは予想通り、第二王子であるヨハネスだった。
「何かお悩み事かな?」
優雅な所作で首を傾げつつ、ヨハネスが尋ねる。扇子を片手に口元を隠しているものの、その表情は何処か楽し気だ。クララは唇を尖らせると、ふいと顔を背けた。
ため息を一つ、クララはコーエンの後姿を見送る。
コーエンはクララと結婚するために、王太子となることを選んだ。
優秀だが、権力欲の無かったコーエン。そんな彼が、こうして意欲的に公務を熟しているのを見ると、誇らしさと同時に一抹の寂しさを覚える。
(もっとコーエンと一緒に居たい)
すれ違いを経て、ようやく想いが通じ合ったのだ。愛を育む時間が欲しいと思ってしまうのは致し方ない。彼を王に望んだのは自分だし、当然、クララはワガママを言える立場には無いのだけど。
「――――もしもしお嬢さん」
その時、誰かがクララに声を掛けた。以前耳にしたのと全く同じセリフ、同じ声音。確信を胸に、クララは静かに振り返る。
「ヨハネス殿下」
そこに居たのは予想通り、第二王子であるヨハネスだった。
「何かお悩み事かな?」
優雅な所作で首を傾げつつ、ヨハネスが尋ねる。扇子を片手に口元を隠しているものの、その表情は何処か楽し気だ。クララは唇を尖らせると、ふいと顔を背けた。