【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「何かあったら、遠慮なく僕を頼ると良い」


 ヨハネスはそう言って、クララの頭をポンと撫でた。明るい表の顔とも、ほの暗い裏の顔とも違う真摯な表情。どんな表情を返せば良いか分からず、クララは思わず俯いてしまう。
 けれど、次の瞬間


「――――隣国の王女なんて、いかにも利用し甲斐が有りそうだからね。元々は僕が取り入る予定だったんだし、そちらの方が丁度いい。王太子でなくとも、金と権力は持っておいた方が良いだろう?」


 ヨハネスは妖しく目を細め、口の端にニヤリと笑みを浮かべた。すっかりいつも通りのヨハネスだ。


(何よ。ちょっとだけ、動揺しちゃったじゃない)


 ほっと胸を撫でおろしつつ、クララは居住まいをただした。


「状況は分かりました。わたしもそのつもりで動きます」


 言えばヨハネスは満足そうに微笑み、ヒラヒラと手を振った。


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