【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
ヨハネスの事前情報通り、アリス殿下は大層美しい姫君だった。
真っ白な肌にシルクのような光沢を放つ髪、紅い瞳が神秘的で、同性であるクララでさえ思わず息を呑んでしまう。
「この度は御即位、ご婚約、おめでとうございます」
恭しく祝辞を述べられ、コーエンと共に笑顔で応える。
「本来ならば発表の折に参るべきところ、こうしてご挨拶が遅くなってしまったこと、父に代わってお詫び申し上げます」
「とんでもないことです。長旅でお疲れになられたでしょう? まずはごゆるりと身体を休めてください」
コーエンはそう言って、スッと腕を差し出す。傍らには男装姿のジェシカが並んだ。
アリスはパッと瞳を輝かせると、コーエンの腕を取り、美しく微笑む。クララの胸がツキンと痛んだ。
「わたくし、行ってみたい場所が沢山あるのです! 是非、お二人に連れて行っていただきたいわ!」
三人の後をしずしず歩きながら、クララの表情は次第に曇っていく。
『二人』とわざわざ言及したのだ。その中にクララは含まれていない。本当ならば同行したいが、叶わないだろう。
チラリとコーエンを見上げれば、アリスと会話をしながら、楽しそうに微笑んでいた。それが正解だと分かっているが、モヤモヤはする。
(コーエン、わたしは?)
何度もそう尋ねたくなったが、クララは必死に口を噤んだ。
真っ白な肌にシルクのような光沢を放つ髪、紅い瞳が神秘的で、同性であるクララでさえ思わず息を呑んでしまう。
「この度は御即位、ご婚約、おめでとうございます」
恭しく祝辞を述べられ、コーエンと共に笑顔で応える。
「本来ならば発表の折に参るべきところ、こうしてご挨拶が遅くなってしまったこと、父に代わってお詫び申し上げます」
「とんでもないことです。長旅でお疲れになられたでしょう? まずはごゆるりと身体を休めてください」
コーエンはそう言って、スッと腕を差し出す。傍らには男装姿のジェシカが並んだ。
アリスはパッと瞳を輝かせると、コーエンの腕を取り、美しく微笑む。クララの胸がツキンと痛んだ。
「わたくし、行ってみたい場所が沢山あるのです! 是非、お二人に連れて行っていただきたいわ!」
三人の後をしずしず歩きながら、クララの表情は次第に曇っていく。
『二人』とわざわざ言及したのだ。その中にクララは含まれていない。本当ならば同行したいが、叶わないだろう。
チラリとコーエンを見上げれば、アリスと会話をしながら、楽しそうに微笑んでいた。それが正解だと分かっているが、モヤモヤはする。
(コーエン、わたしは?)
何度もそう尋ねたくなったが、クララは必死に口を噤んだ。