【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
5.宣戦布告
クララの後ろにいたのは、背が高くガタイの良い、無表情な男性だった。
グレイの短髪にダークブルーの瞳、厳めしい目つきに眉間の皺。不機嫌であることを一切隠すつもりのないその様子に、クララは静かに息を呑む。
「殿下!」
そう言って膝を付いたのはシリウスだった。コーエンは軽く首を傾げたまま、憮然とした表情を貫いている。クララは慌てて膝を折り、他の騎士たちと同じように頭を垂れた。
(殿下…………ってことは)
今目の前にいる男性。彼こそがこの国の第1王子、カールなのだろう。
「シリウス、おまえは俺の側近だろう。この男に負けるとは何事だ?」
「はっ。申し訳ございません!」
シリウスの声は小刻みに震えていた。
カール王子は軍事力を重要視する王子だ。
つい百年ほど前まで、この国は小さな内乱が頻発していた。今は内乱も落ち着き、他国から攻め入られることも無い。けれど、この平和は確固たる軍事力あってこそだ。――――それがカールの考え方である。
側近に文官ではなく近衛隊長を重用している所からも、彼がどんな国を目指しているのかは明らかだった。
グレイの短髪にダークブルーの瞳、厳めしい目つきに眉間の皺。不機嫌であることを一切隠すつもりのないその様子に、クララは静かに息を呑む。
「殿下!」
そう言って膝を付いたのはシリウスだった。コーエンは軽く首を傾げたまま、憮然とした表情を貫いている。クララは慌てて膝を折り、他の騎士たちと同じように頭を垂れた。
(殿下…………ってことは)
今目の前にいる男性。彼こそがこの国の第1王子、カールなのだろう。
「シリウス、おまえは俺の側近だろう。この男に負けるとは何事だ?」
「はっ。申し訳ございません!」
シリウスの声は小刻みに震えていた。
カール王子は軍事力を重要視する王子だ。
つい百年ほど前まで、この国は小さな内乱が頻発していた。今は内乱も落ち着き、他国から攻め入られることも無い。けれど、この平和は確固たる軍事力あってこそだ。――――それがカールの考え方である。
側近に文官ではなく近衛隊長を重用している所からも、彼がどんな国を目指しているのかは明らかだった。