【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
 王妃と会うのはこれが初めてで、彼女が一体どんな人物なのか、クララはまだ知らない。
 小さな緊張感を抱きつつも、しっかりと王妃に向き直った。


「さて、二人きりになったところで本題なのだけれど。あの子は――――フリードはちゃんと、あなたと仲良くできてる?」


 王妃はそう言って困ったような笑みを浮かべる。


「少し癖のある子だから心配していたの。あなたのことを遠ざけたり、むしろベタベタしたり、変なことを言い出したり……色々と困らせているんじゃないかって」

「殿下が?」


 クララはそう言って首を傾げた。

 フリードに対する印象は、穏やかで優しいといったものばかりで、王妃の言う印象とは当てはまらない。『仮ではなく本当の婚約者になってほしい』と言われて困惑したことはあるが、それはノーカウントだろう。


「あっ、でもね、根はすごく優しい子なのよ!皆から誤解されがちなんだけど、本当はすごく思いやりがあって」


 クララが口を開くより先に、王妃がそう捲し立てる。


(素敵な方だなぁ)


 きっと王妃は、息子であるフリードのことを心から愛しているのだろう。穏やかで優し気な面影がフリードにピタリと重なった。


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