【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「殿下はとても優しいです。わたしにもすごく親切に接してくださっていますよ」

「本当?良かった……」


 無邪気な笑顔を見せる王妃に、知らずクララの頬も緩む。
 どうやら王妃との相性は悪くないらしい。クララはホッと胸を撫でおろした。


「本当は私、今回の王太子争いには反対だったのよ」


 優雅にティーカップを揺らしながら、王妃は笑った。何やら悲し気な表情だ。


「どうしてそう思われるのか、お尋ねしても……?」


 クララは遠慮がちに尋ねつつ、首を傾げた。
 王妃は優し気に目を細めると、ぼんやりと遠くの方を見つめた。


「私もあなたと同じ内侍――――王太子の仮の婚約者だったから」

「えっ……」


 思わぬことに、クララは目を丸くする。
 内侍を交えた王太子選びは、今回が初めてだと思っていたのだ。


「驚くわよね。おまけにあの時は、王太子候補が4人いたの。私はあなたと同じ、当時の第3王子の内侍だったのだけど」


 王妃は小さく笑いながら、目を伏せた。
 先程よりもなお悲し気な表情に、クララは胸が痛くなる。


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