【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「……もしかして、わたしのことを心配してくれてたりする?」


 クララは小さく首を傾げながらそう尋ねる。
 少しばかり茶化すような言い方。きっとコーエンは面倒くさそうに反論するだろう。そう思っていたのだが。


「――――――っ」


 見れば彼は、恥ずかしそうに頬を赤らめ、そっぽを向いているではないか。
 クララが思わず吹き出すと、コーエンは眉間に皺を寄せ、唇を尖らせた。


「さすがのクララも、王妃との茶会なんて、気が重いだろうって思ったんだよ」


 ワシワシと髪の毛を掻きながら、コーエンがぼそりと呟く。


(さすがのクララ、ね)


 短期間の間に、クララは随分とコーエンの信頼を勝ち得たらしい。何やら気分が良くなって、クララは満面の笑みを浮かべた。


「王妃様はお優しいし、とっても素敵な方だったもの。最初は少し緊張したけど、すぐに慣れたわ」


 鼻息交じりでクララは自身の文机の前に腰掛ける。


「殿下の幼い頃のお話も聞かせていただいたしね。なんだか、わたしが思っている殿下の印象と違っていて面白かったわ。あの殿下が結構やんちゃだったって仰るんだもの。他にも色々……勉強熱心なこととか、剣が強かったこととか。王妃様のお話を聞いて、断然イメージアップしちゃった」


 クララがそう言って笑うと、コーエンは口元を手のひらで覆いながら、そっと目を逸らした。


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