【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
(本当はコーエンの話も聞きたかったんだけど)
フリードとコーエンは幼い頃からの付き合いらしい。ならばきっと、王妃もコーエンのことを良く知っているだろう。
けれどさすがのクララも、仮とはいえ未来の姑に対して、別の男性の話を聞くわけにもいかない。
コーエンはしばらくムスッとした表情を浮かべていたが、ややして気を取り直したらしい。
「サボってた分、しっかり働けよ」
そんな憎まれ口を叩きながら、ため息を吐いた。
「ところで殿下は?」
不在の間に机に置かれた書類を確認しながら、クララは尋ねる。恐らく殆どの仕事をコーエンが処理してくれたのだろう。申し訳程度の分量しか残っていなかった。
「あーー……」
コーエンは窓の外をチラリと覗くと、再び手元の書類に視線を移す。クララは首を傾げながら、コーエンを見つめた。
「今日は治部の連中のところに行くって言ってたよ。たまには直接顔を出さないと、ってな」
「……そうね。文官たちからの支持を得るのって大事だろうし」
城内はとにかく広く、部署によっては行き来するだけでも数十分ほど掛かり、結構大変だったりする。だから、通常はクララ達がフリードの名代となり、伝令役を務める。
けれど、執務室と遠いからと言って顔を出さなければ、文官たちは『自分たちが軽んじられている』と感じるものだ。色んな部署に適度に顔を出し、直接意見を聞いたり、声を掛けることも、王子の大事な仕事らしい。
フリードとコーエンは幼い頃からの付き合いらしい。ならばきっと、王妃もコーエンのことを良く知っているだろう。
けれどさすがのクララも、仮とはいえ未来の姑に対して、別の男性の話を聞くわけにもいかない。
コーエンはしばらくムスッとした表情を浮かべていたが、ややして気を取り直したらしい。
「サボってた分、しっかり働けよ」
そんな憎まれ口を叩きながら、ため息を吐いた。
「ところで殿下は?」
不在の間に机に置かれた書類を確認しながら、クララは尋ねる。恐らく殆どの仕事をコーエンが処理してくれたのだろう。申し訳程度の分量しか残っていなかった。
「あーー……」
コーエンは窓の外をチラリと覗くと、再び手元の書類に視線を移す。クララは首を傾げながら、コーエンを見つめた。
「今日は治部の連中のところに行くって言ってたよ。たまには直接顔を出さないと、ってな」
「……そうね。文官たちからの支持を得るのって大事だろうし」
城内はとにかく広く、部署によっては行き来するだけでも数十分ほど掛かり、結構大変だったりする。だから、通常はクララ達がフリードの名代となり、伝令役を務める。
けれど、執務室と遠いからと言って顔を出さなければ、文官たちは『自分たちが軽んじられている』と感じるものだ。色んな部署に適度に顔を出し、直接意見を聞いたり、声を掛けることも、王子の大事な仕事らしい。