【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~

8.王太子選抜の課題

 それは、王妃とのお茶会から数日が経った、ある日のことだった。


「二人とも、少し時間を貰えるかな?」


 改まった様子のフリードが、クララとコーエンを手招きする。二人は顔を見合わせながら、すぐにフリードの側へ向かった。


「実はね、一か月後に、少しばかり大掛かりな宴が開かれることが決まったんだ」


 フリードはそう言って穏やかに微笑む。


(宴?)

 
 夜な夜な開かれる、貴族たちの夜会のことを指しているのだろうか。クララは小さく首を傾げた。


「あぁーーーー、どっかの国から使節が来るんだったっけ?」


 コーエンはポリポリと頭を掻きながら、面倒くさそうに呟く。


「そうそう。今回の宴は彼等をもてなすために開くものだから、クララが知っている夜会とは趣が異なるんだ」


 クララの疑問に答えながら、フリードは笑った。

 国土を海で囲まれた島国であるこの国に、遠路はるばる他国からの客人、しかも国賓クラスの人間が訪れることは珍しい。

 だから、歓迎の意を表するために、食事や酒をふんだんに振る舞い、音楽や劇等を披露する場を設けるのだという。


(楽しみだなぁ。一体どんな感じなんだろう)


 クララが出席してきた夜会だって、限られたものだけに許された、煌びやかな社交の場だった。

 フリードの話だけではうまく想像ができない。けれどきっと、それとは規模の異なる、とてつもなく華やかなものなのだろう。クララはうっとりと目を細めた。


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