【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
 フリードはもう一度ニコリと微笑んだかと思うと、急に真剣な目つきへと変わる。クララも思わず居住まいを正した。


「それで今回の宴なんだけれどね――――ボクたち王子3人が取り仕切ることになったんだ」

「は!?おまえそれ、マジで言ってんの!?」


 フリードの言葉を聞くや否や、コーエンはそう言って声を荒げる。相手は王子だというのに、今にも掴みかかりそうな勢いだ。

 コーエンのすごい剣幕にクララはビクリと身体を震わせる。
 けれどフリードは全く動じることなくコクリと頷いた。


「コーエン、もう決まったことだよ」

「……いや、一言ぐらい断りを入れろよ。俺にも」


 コーエンはそう言って唇を尖らせる。


(うーーん、重要事項は事前に側近へも伺いを立てるものなのかしら?)


 確かにフリードが仕事を引き受けるということは、その分側近であるコーエンの仕事が増えるということを意味する。

 クララにはこの辺の決まりがまだ良く分からないものの、コーエンの様子から判断すれば、本来は決定前にある程度の情報が得られるものなのだろう。


「そんなこと言ったって、会議をすっぽかしたのはコーエンの方だろう?」


 フリードはニコリと笑いながら、コーエンを見上げる。
 コーエンは不満げな表情のまま、ややして深いため息を吐いた。


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